鉄が老化をすすめて寿命を短くしている?

突然ですが、あなたは自分の寿命はどれくらいだと思いますか?

「美容と健康に気を配っているから100歳までいけるはず!」

確かに日本中を見わたせば100歳を超えた長寿の老人がたくさんいますよね。

今や日本人にとって100歳という寿命はそれほど違和感を持つ数字ではありません。(身の回りにはなかなかいませんけどね。。)

WHO世界保健統計2017年版によると、日本の平均寿命は「83.7歳」

これを男女別にみると

  • 男性ー80.5歳
  • 女性ー86.8歳

主に女性の長寿によって日本の平均寿命は世界トップになっています。

 

ところが明治時代の日本人の寿命は35歳くらいでした。

戦前(1947年以前)にようやく50歳くらいまで伸びています。

 

食肉と健康ー平均寿命の推移

食肉と健康ー戦後の日本人栄養摂取と国民所得

引用:日本人の平均寿命の推移と動物性たんぱく質の摂取量との関係ー「食肉と健康

なぜこのように寿命が延びたのでしょうか?

  • 冷蔵庫の普及
  • 公共下水道の整備で感染症が低下
  • 医療の発達

色々考えられますが、やはり上の表でわかる通り動物性たんぱく質の摂取量が増えたことが一番の原因です。

肉・卵・乳製品をとることにより脳や骨・筋肉は大きく成長し免疫力も高まります。

一方で、それまでは少なかった生活習慣病とよばれるさまざまな病気が同時期から多くみられるようになってきます。

  • ガン
  • 心筋梗塞
  • 動脈硬化
  • 脳梗塞
  • 悪性腫瘍
  • 糖尿病
  • 痛風

これらの原因が動物性たんぱく質などからとれる鉄が一因だとすれば、あなたはどう思いますか?

こう考えると様々な現象がうまく説明できるのです。

人間の寿命は50歳である

人間の寿命はもともと50歳あたりに設定されているといわれています。

ですから日本の戦前の寿命はいたって自然なものです。

ですが現代は冷蔵庫や医療・豊富な食品がそろった、人類の歴史上にない豊かな時代です。

(不自然な時代?)

なんと、日本の「食品廃棄量」は約1,800万トン

このうちまだ食べられる食料を捨てている「食品ロス」は年間約632万トンといわれています。(2012年 農林水産庁 食品ロス統計調査)

この量は世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成26年で年間約320万トン)を大きく上回る量となっています。

世界の食糧援助量と日本の食品ロスー政府広報オンライン

引用:世界の食糧援助量と日本の食品ロスー政府広報オンライン

こうしたことからも分かる「豊食」が強く大きな身体をつくった反面、今までになかったミネラルバランスを体内に作りだしています。

それが男性や閉経後の女性における鉄過剰です。

この鉄過剰が老化とどんな関係があるのか?

そこに焦点を当てていきましょう。

老化と生活習慣病

老化が起こる原因を説明した理論で有名なのが「分子障害説」です。

分子障害説は1950年半ばにアメリカのネブラスカ大学医学部 デンハム・ハーマン博士が発表しました。

人の細胞は時間とともに体内で生成されたヒドロキシラジカル(OH・)のようなフリーラジカルにより体細胞や遺伝子のダメージが酸化されて次第に衰え老化していきます。

つまり酸化が老化につながるというのが分子障害説です。

鉄が体内でヒドロキシラジカルを生み出すことはすでに説明しました。

「鉄の体内リサイクルシステム」で貧血解消-”危険な鉄”の吸収・排出の真実

私たちの体内では細胞内のミトコンドリアがエネルギーを生産していますが、そこからも活性酸素・フリーラジカルが発生します。

この体内で発生したフリーラジカルは生体のDNA・タンパク質・脂質にダメージを与えます。

その結果できる過酸化脂質により細胞膜は破壊されます。

DNAの傷はがんの発症・突然変異・老化を招きます。

私たちの身体には、抗酸化物質(グルタチオンペルオキシダーゼなど)を体内で産生することでフリーラジカルと戦い老化を防ぐ防御機能がそなわっています。

ところが活性酸素やフリーラジカルは他にも様々な原因で発生します。

  • 食品添加物
  • サラダ油
  • 煙草
  • アルコール
  • 排気ガス
  • 化学物質
  • PM2.5

このような環境の中で年齢とともに抗酸化が追いつかなくなってダメージのほうが多くなっていきます。

これが老化であり、死なのです。

なぜ女性のほうが長生きできるのか?

最初の表で見た通り基本的に女性は男性よりも長生きします。

これは世界共通であり文明国では女性の平均寿命は男性よりも5年以上長くなります。

これは男女の染色体の構成がちがうことに原因があるとする考え方があります。

さらに女性はエストロゲンという女性ホルモンを多く分泌するため、エストロゲンが女性の健康を守っているという説もあります。

しかしそれらよりも注目したいのが男女におけるフェリチン(鉄貯蔵量)の差です。

男性のフェリチンは15~30歳にかけて約3倍に増加し、その後も少しずつ増えていきます。

一方で女性のフェリチンは50歳くらいまでは低いままで変化しませんがその後は急激に増加しています。

 

人の血清フェリチン量の加齢変化ー東邦大学薬学部生化学教室
引用:「鉄と老化および老化関連疾患」東邦大学薬学部生化学教室

慢性肝疾患における鉄毒性と徐鉄治療ー男女の年齢別鉄貯蔵量の違いの模式図
引用:慢性肝疾患における鉄毒性と徐鉄治療ーC型肝炎を中心に

女性におけるこの急激な血清フェリチン(貯蔵鉄)の増加は、50歳ぐらいの女性におこる閉経が原因です。

閉経を迎えるまでは女性は月経により鉄を排出するためフェリチンは低く保たれます。

ところが老齢期が近くなるにつれてフェリチンの男女差は少なくなっていきます。

そして閉経後に増える女性の心疾患やがんなどは、この鉄蓄積が原因ではないかと推定されています。

男性についてもフェリチンが最も高くなる40歳以降になると動脈硬化や脳梗塞・糖尿病などの老化病が多くなっていくことからも鉄と老化の関連がうかがわれます。

実際に、50歳くらいからがんにかかる人数が大変多くなっていくことが国立がん研究センターの調査で明らかになっています。

年齢階級別がん罹患率2015年ー国立がん研究センターがん対策情報センター
あらゆる「がん」の男女別罹患率  2013年

引用:「最新ガン統計」国立がん研究センター

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この傾向は動脈硬化・虚血性心疾患・脳血管障害においても同様にみられます。

虚血性心疾患は男性に多くみられますが閉経後は女性も急増します。

虚血性心疾患患者数の男女別年齢分布グラフ-虚血性心疾患 Minds版やさしい解説

引用:「虚血性心疾患 Minds版やさしい解説 」公益財団法人日本医療機能評価機構

また肝臓がんにおいても同様な傾向がでています。

C型肝炎と鉄過剰の関係はこれまで多数の研究者により指摘されてきました。

そして肝臓がんの原因の8割はC型肝炎といわれています。

ですから肝臓がんにおいても鉄過剰が死亡率に影響している可能性があります。

年齢階級別死亡率 肝臓(男性)-ガン情報サービス

年齢階級別死亡率 肝臓(女性)-ガン情報サービス

引用:「がん登録・統計」国立がん研究センターがん対策情報センター

肝臓がん女性の死亡率は男性の死亡率より少ないことや、2011年における肝がんによる死亡は閉経前では男の20%、閉経後でも30%程度であることが分かります。

つまり「女性は活性酸素・フリーラジカルの影響を男性よりも受けにくい」と言えます。

女性はたとえ閉経後であっても男性よりフェリチン(貯蔵鉄量)は少ないですがそれでも十分鉄過剰傾向にかたむきます。

ですから男女ともに鉄過剰により肝臓がん死亡率が増えているという見方も十分可能です。

こうして総合的に考えれば考えるほど鉄と老化の深い関係が見えてきます。

動物における鉄と老化

老化により体内の鉄蓄積量が増えるのは人間だけではありません。

「老化&鉄過剰は昆虫も人間も共通している」という結果が報告されています。

ショウジョウバエやラットの肝臓、脳、腎臓中の鉄濃度は加齢とともに増加していきます。

ショウジョウバエ・ラットともに生まれた時のフェリチン濃度に比べて2〜5倍にまで上昇がみてとれます。

動物の加齢に伴う鉄蓄積ーキイロショウジョウバエとラット

引用:「鉄と老化および老化関連疾患」東邦大学薬学部生化学教室

そこで、鉄吸収を抑える作用をもつ紅茶の抽出液をショウジョウバエに与えて調査しました。

体内の鉄蓄積量は生涯にわたり変化しませんでしたが、寿命は抽出液を与えない群と比べて約1.2倍にのびました。

また、マウスに離乳期から低鉄飼料を与えると、成長速度などには変化が見られないのに寿命が約1.3倍にのびることも分かっています。

ショウジョウバエの発生と老化による鉄蓄積
Iron accumulation during development and ageing of Drosophila.

老化のメカニズム:マウスにおける酸化的ストレス仮説
Mechanisms of aging: an appraisal of the oxidative stress hypothesis.

 

「年齢・性別をふまえた最適な鉄量」でストップ老化

鉄の量と年齢・性別の間に特徴的な関係があることは明らかです。

鉄が足りない人(ほとんどは月経のある女性)は鉄をとりたいし、40過ぎた男性や50代以降の男女は鉄過剰での老化をさけるために鉄を減らしたい。

そのためには鉄量をコントロールするホルモン「ヘプシジン」が今どのように働いているかを把握することも重要です。

鉄吸収抑制ホルモン「へプシジン」-”炎症性貧血”を改善する2つの作戦

あなたに必要な鉄量はどれくらいですか?

あなたのフェリチン(貯蔵鉄量)はどれくらいですか?

あなたの身体には炎症がありますか?

あなたの食生活にはどれくらいの鉄量がふくまれていますか?

あなたは鉄を排出する食材を食べていませんか?

老化をとめるためには最適な鉄量をみつけだした上で、正しい方法で無駄なく無理なく鉄を吸収・排出することが大切です。

鉄量コントロールだけで老化が止められるとしたら、考えようによってはシンプルにアンチエイジングできることになります。

月経もうっとおしいめんどくさいものとばかり思っているかもしれません。

でも実際は月経があるから男性よりも病気になりにくく寿命も長いわけです。

そう考えると長い目で見たときに女性の月経への見方は変わってきます。

「オトコはいいよね・・・」

なんてあなたもうらやましく思っていたかもしれません。

でも結局、男も一生という長い目で見ると寿命・老後の病気という形で帳尻合わせがやってきます。

ですから鉄を意識してほしいんです。

といっても食事からの鉄量をコントロールするだけ。

さらに、血液検査でフェリチン(貯蔵鉄)・血清鉄をチェックしておくことも大切です。

特別な美容液や化粧品、高価なサプリメントがなくても老化は防げます。

鉄が老化にどんな影響をおよぼしているか、その流れをまずはしっかりと把握してください。

その先にはストップ老化&なが~い老後(いい意味で)があなたを待っています。。

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