体内時計といえば光

体内時計と聞けば、やはり光を思い出します。

「朝の太陽を浴びて体内時計をリセット」

この定番フレーズはあちこちで目にしますよね。

実際その通りであり、人間は光を浴びることで体内時計をリセットし1日の活動準備を始めます。

でも、体内時計は光だけでコントロールされているのではありません。

今日はもう一つの体内時計をコントロールする要素である「食事」について考えていきます。

人間の体内時計は24.5時間

人間は概日リズム(サーカディアンリズム)にしたがっています。

その周期はおよそ1日といわれていますが、正確な数字をあなたは知っていますか?

なんと正確には24.5時間なのです。

  • 体温リズム
  • 副腎皮質ステロイドホルモン分泌リズム
  • 睡眠・覚醒リズム

こうした昼と夜で大きく変わる体内リズムのホメオスタシス(恒常性維持)にはこの概日リズムが深く関わっています。

他にももっと大きな周期が存在します。

  • サーカルーナリズム(1か月周期):女性の月経
  • サーカアニュアルリズム(1年周期):
    • 植物の開花
    • 動物の繁殖期
    • 冬季うつ病

地球上の生物はこうしたリズムに左右されながら一生をおくります。

ここで概日リズムの話にもどりましょう。

1日は24時間であり、24.5時間ではありませんよね。

(もし1日が26時間くらいあったら賃金は増え、寿命は減るのだろうか??)

つまり、体内時計というのはずれるようにできています。

ですから自分でずれを調整することが必要になっていきます。

そのために有効なのが食事による概日リズム(サーカディアンリズム)の調整です。

体内時計は全身にある

体内時計って一体どこにあるのでしょう?

やはり脳のあたりにありそうな感じがしますよね。

答えはこうです。

  • 視交叉上核
  • 脳(大脳皮質、海馬)
  • 心臓
  • 肝臓
  • 腎臓
  • 皮膚

ほとんどあらゆる臓器に体内時計遺伝子が存在し、リズムを刻んでいることが明らかとなっています。

さらに体内時計はこうした臓器・器官の間で階層構造をとっています。

視交叉上核(しこうさじょうかく)が主時計で大脳皮質や海馬などの脳(脳時計)や肝臓、心臓などの末梢臓器にあるのが主時計に従う抹消時計です。

体内時計のタイミングを視交叉上核が指示しておりそれに他の臓器・器官が従う形をとっています。

視交叉上核とは?

概日リズム(サーカディアンリズム)を取り仕切る親玉である視交叉上核(しこうさじょうかく)とは一体どんなものでしょうか?

視交叉上核は脳の視床下部にある非常に小さい領域のことをさしています。

Suprachiasmatic Nucleus
青の部分(視床下部)と赤い部分(視交叉)の間にある小さな水色の部分が「視交叉上核」

光の入力を受けるとともに、哺乳類の概日リズムをコントロールする最高位の中枢として存在します。

(体内時計が光によってコントロールされるのも視交叉上核が影響していることをうかがわせます)

視床下部(上の図の青い部分)の下、視交叉(上の図の赤い部分)の真上に位置しています。

睡眠、覚醒、血圧、体温、ホルモン分泌など様々な生理機能において24時間におけるサーカディアンリズムが視交叉上核で作り出されています。

視交叉上核を外科的に切除すると様々なサーカディアンリズムが失われますが、別な視交叉上核を移植することでサーカディアンリズムが回復することが分かっています。

体内時計が食行動を支配している

小腸の糖吸収システムにおける糖輸送トランスポーター遺伝子にも昼夜によって発現リズムの変化があることが分かっています。

グルコース取り込みにおける日内リズムは、ナトリウム – グルコース共輸送体(SGLT1)の発現における時間的周期性によって媒介される
Diurnal rhythmicity in glucose uptake is mediated by temporal periodicity in the expression of the sodium-glucose cotransporter (SGLT1).

マウス小腸におけるヘキソース輸送体の発現と機能:日周リズムの役割
Hexose transporter expression and function in mouse small intestine: role of diurnal rhythm.

この事実は逆に食事によって体内時計をコントロールできることを示しています。

体内時計の仕組みをあらわす模式図
「時間栄養学」柴田重信

夕食に食べる量で体内時計は決まる

あなたは夕食で食べすぎていませんか?

夕食で食べ過ぎてしまうと体内時計は夜型になり太りやすい体質に近づくことが分かっています。

夕食は太る?-メラトニンで成功する「インスリン抵抗性低下&食事時間帯ダイエット」

  • 朝食の食事量が夕食より少ない(朝食:夕食=1:3)と体内時計の位相が夜型に
  • 食事量がほぼ同じだと(朝食:夕食=2:2)位相はほぼ真ん中くらい
  • 朝食が夕食よりも多いと(朝食:夕食=3:1)位相は朝方に

ですから夕食の比重を軽めにしていくことで体内時計が朝方に変わり、太りにくい身体が手に入ります。

夕食の量が多いと朝型に変えにくい理由

夕食のあとは寝る時間がやってきます。

ですから一般的に、夕食から次の朝食(昼食)まではかなりの時間が空くことになります。

この絶食時間があることにより体内時計が正常化できます。

逆に言えば、夕食をとりすぎてしまうと体内時計が大きく夜型に移行します。

さらに消化に手間取るために絶食時間をもっと多くしないと十分な休息がとれません。

絶食時間を空ける( 早寝する)だけではなく、「 朝(昼)」と決めた時間帯の食事でしっかり量を食べることで体内時計 は「 朝」と 認識しやすくなります。

絶食時間と食事比率が体内時計に及ぼす影響

引用:時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則

3食で考えるなら日本人は朝食:昼食:夕食=2:3:5の人が多いのではないでしょうか。

(年齢によってこの比率はだいぶ変わるでしょうね。)

しかし理想は朝食:昼食:夕食=4:3:3あるいは3:4:3がベスト。

私としては朝食:昼食:夕食=3:5:2あるいは3:6:1のほうがいいだろうと思っています。

昼は朝と違い活動後の食事となるためエネルギーが減少し消化吸収がしやすい時間帯です。

さらに朝に多く始まるホルモン分泌活動が終わる時間帯が昼ですから、エネルギー回復の意味でもたくさんのエネルギーが必要です。

2食であれば昼食:夕食=7:3あるいは6:4がよいでしょう。

夜は日中の活動後に食事をとる時間帯であるためたくさんの量が必要と感じてしまいます。

しかし夕食はインスリンの分泌が睡眠中まで長く続く可能性が高くなりがちです。

(特にタンパク質のインスリン分泌は長時間続くことがあり要注意)

もっともごくたまに夜多く食べたからといって、ふだんしっかり朝・昼メイン食ができていればすぐに夜型にもどるようなことはありません。

基本的な枠組みができているかどうかが大切だということです。

穀物系デンプンが体内時計をリセットする

穀類は体内時計を大きく動かします。

イモ類デンプンがあまり体内時計に影響を与えないのに対し、穀物系デンプンは大きく体内時計を動かすことがマウスによる実験で分かっています。

(食べ過ぎては逆効果)

時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則-穀類には体内時計をリセットする力がある

引用:時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則

ただしこの実験では生の穀類・イモ類を使っていますので、火を通した場合はこれほど大きな差が出ない可能性があります。

ですからGI値の大きさと体内時計を動かす力が比例することをみるための例くらいに考えてください。

糖質だけでは体内時計は動かない-「タンパク質+糖質」

しっかりとインスリンを分泌して体内時計を動かすためには糖質だけとっても効果は低めです。

タンパク質+糖質の組み合わせにすることでより効果的となります。

時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則ータンパク質は何を食べたらよいか

引用:時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則

タンパク質のインスリン分泌は、一般的に炭水化物よりもやや「ゆるやかに長時間続く」のが特徴です。

(ただしタンパク質の種類によって異なります)

Response to 50g Protein Ingestion

the blood glucose, glucagon and insulin response to protein

このように炭水化物とタンパク質というインスリン分泌の時間経過が微妙に異なるものを組み合わせることで、食事後もしっかりとインスリン分泌が続きます。

これが体内時計を修正していくのに必要なのです。

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脂質では魚油が体内時計を速攻で大きく動かす

マグロ(ツナ)が最強

脂質の中では魚油がもっとも体内時計に迅速で大きな影響を与えます。

特にインスリンがでやすいマグロにその傾向がはっきりとでています。

時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則-体内時計をより大きく動かす脂質

魚油と体内時計

引用:時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則

体内時計を動かすのはGIが高い高インスリン食

体内時計を大きく動かす食べ物を見てきました。

これらを見ていて分かることがあります。

  • じゃがいもよりサツマイモや白米小麦
  • 小魚よりもマグロの魚油

こうしたことから分かるのは以下のような事実です。

「しっかりとインスリンが分泌されるような高GI食品ほど体内時計を動かしやすい」

じゃがいもよりも甘いサツマイモ・白米・小麦のほうがGIが高くインスリンが多く分泌されるのはかんたんに想像がつきますのでこちらは特に検証しません。

魚のほうは分かりづらいと思いますので、種類別にインスリン分泌量を検討してみます。

下の魚類のインスリン分泌量の一覧を見てください。

  • サバ:10
  • マス:18
  • ニシン:19
  • イワシ:19
  • マグロ:23

マグロのインスリン分泌量がかなり多いことが分かります。

FISHInsulinLoad4

引用:the 100 most ketogenic diet foods

ですから極端な言い方をすれば、しっかりインスリンが出る食事をとることが体内時計をコントロールする秘訣かもしれません。

だからといって食べ過ぎたら健康を害して何の意味もなくなりますのでその点はご注意ください。

間食は体内時計を狂わす原因

  • 和菓子
  • スナック類
  • クッキー
  • 料理中にちょこちょこ味見

こうした間食ははっきり言って危険です。

あなたの体内時計を動かなくしてしまい、体内時計を太りにくい朝方に変えていくことが難しくなります。

どうしても夕食が遅くなりそうなときの対処法

どうしても仕事が長引くとき、出先での突発的な出来事(電車の遅延とかかな)で夕食が遅くなってしまう時があります。

そんな時はあきらめて深夜に夕食(夜食?)をとるしかないのでしょうか?

一つだけ対処法があります。

それが分食です。

残業で帰宅が遅くなりそうなとき、とりあえず19時ごろの隙間時間にゆで卵やナッツなど食事の半分量だけ食べておきます。

残りの半分は帰宅後の夜に食べる。

これによって体内時計は夜にずれ込む度合いが減って、もとの朝方体内時計にもどしやすくなります。

ただ、この分食の問題点はやはり食事回数が増えることによってインスリン分泌回数・量が増えがちな点。

糖質過剰であったりタンパク質をとりすぎていたり食べすぎがある人は過剰なインスリンによって体に負担をかけることになります。

分食はごくたまに使う非常手段と考えたほうがよいでしょう。

体内時計をリセットするための食事

ずれた体内時計を修正するためには正しい時間に正しい食事をとることが大切です。

夕食に食べ過ぎず、タンパク質・脂質・炭水化物のバランス、さらにGI値の強弱をよく考えた食事を適切な時間にとる。

この繰り返しがあなたの体内時計を朝方に変えていきます。

  • 朝食(昼食)でGI高め
  • 夕食でGI低め

この組み合わせをよく覚えておいてくださいね。

体内時計をリセットするための食事

引用:時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則

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